今は早や
十市(とおち)の池のみくりなは
くる夜もならぬ人を恋ひつつ

文学 短歌 中納言為家


万濃の
池とはいはじ八十島
かけて見る心持せり

万濃眺望 藤井高尚


池塘(つつみ)に
咲きてかおれる花の中に
華(はな)は桜の外なかりけり

池塘の桜 従三位梅溪通治
(うめたにみちとお)


たまちはふ
神野山に咲き初めて
朝日に匂い丹つゝじの花。

神野山のつゝじ 松岡調
(みつぐ)


天に立つ
煙空しく絶えぬれど
護摩焚石は世に匂ひけり

護摩焚石煙 大僧正旭雅


玉きはる
幾世経にけん老松の
尚行末もたのもしきかな

矢原老松 森寛斉


水ならで
慈悲のこゝをたゝえたり
大師の池はありがたきかも

満濃池に遊びて 吉井勇


風は五月雨は
十市の池水も絶えず
湛(たた)えて速(はや)つ白玉

満濃池の飛瀑 内海三省


夏来れば
神野の森のほととぎす
声も十市の空にさやけき

神野神社の時鳥 梶原景謙